肥満と遺伝体質:2型糖尿病の発症リスクを理解しよう

遺伝体質・肥満が発症リスクの2型糖尿病とは?原因や検査について

自分のリスクを把握しよう

糖尿病の原因

糖尿病は肥満が大きな原因であることが知られています。なぜでしょうか?糖尿病は血糖値が高くなる病気であり、その血糖値を正常に保つ役割を果たすのが インスリン というホルモンです。肥満が存在すると、インスリンが効果的に働かず、血糖値が上昇しやすくなります。

肥満の程度は一般的に BMI という指標で評価されます。BMIは「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算され、日本人の場合、BMIが25以上の場合は肥満とされています。例えば、Aさん(男性)は体重78kgで身長170cm(1.7m)で、そのBMIは約27となり、肥満と判定されます。

特に注意が必要なのは 内臓脂肪型肥満 です。このタイプの肥満は、皮下脂肪ではなく内臓周りに脂肪が蓄積する状態を指します。内臓脂肪型肥満は、糖尿病の発症リスクを増加させることが知られており、男性に多く見られる体型です。内臓脂肪の蓄積を判断する目安は 腹囲 で、男性では85cm以上、女性では90cm以上がリスクのサインとされています。

高血圧や脂質異常症も糖尿病のリスク因子として関連しています。内臓脂肪型肥満と同様に、高血圧や脂質異常症も内臓脂肪の蓄積に関連しており、これらが同時に存在する状態を メタボリックシンドローム と呼びます。メタボリックシンドロームは動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める要因となります。

また、喫煙も糖尿病の発症リスクを高めます。喫煙者は非喫煙者に比べて、糖尿病の発症率が38%高いことが研究から示されています。喫煙本数が多いほど、リスクが増加することも報告されています。

家族の中に糖尿病患者はいませんか?


Bさんは、父親が長らく糖尿病に悩み、視力低下を経験し、心筋梗塞も発症した事例です。さらに、姉が最近糖尿病と診断されました。このように、家族に糖尿病患者がいる場合、本人も糖尿病を発症しやすい傾向があります。

糖尿病は環境要因と遺伝要因の相互作用によって発症することがあり、環境要因は食事や運動の習慣などの生活スタイルに関連します。これらの環境要因が肥満として表れることがあります。遺伝要因は、インスリンの分泌に関する遺伝子の影響を受けることが多く、日本人は欧米人と比較して糖尿病になりやすい体質を持っていることが知られています。したがって、家族に糖尿病患者がいる場合は、特に慎重な注意が必要です。

遺伝する体質とは?

遺伝体質とは、主にインスリンの分泌が不足する体質を指します。日本人はこの体質を持つ人が多いため、少しの肥満でも糖尿病を発症しやすい傾向があります。遺伝要因により、体内での血糖値の調節が難しくなり、糖尿病のリスクが高まります。特に家族内で糖尿病患者が多い場合は、遺伝要因に警戒する必要があります。

3年後あなたの発症率は?

国立国際医療研究センターなどが開発した「糖尿病リスク予測ツール」を活用することで、自身の糖尿病発症リスクを評価できます。このツールを利用する際に必要な情報は、身長、体重、健康診断のデータです。入力した情報に基づいて、将来の3年間で糖尿病を発症する確率を予測してくれます。このツールは2型糖尿病を対象としており、30歳から64歳までの年齢層に適しています。

早期発見の検査とは?

糖尿病は血液検査によって早期に発見できる疾患です。糖尿病の診断基準には以下のような指標があります。

  • 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  • 随時血糖値:200mg/dL以上
  • HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー):6.5%以上

これらの基準を満たす場合、一度の血液検査で糖尿病と診断されます。HbA1cは過去1〜2か月の血糖値の平均を示す指標であり、正確な評価を提供します。

もし血液検査の値がこれらの基準を満たさない場合でも、注意が必要です。例えば、 空腹時血糖値が100~125mg/dL、 随時血糖値が140~199mg/dL、 HbA1cが5.6~6.4%の場合、別の検査である ブドウ糖負荷試験 が勧められます。特に家族内で糖尿病患者がいたり、肥満やメタボリックシンドロームの要因がある場合、ブドウ糖負荷試験が有用です。

ブドウ糖負荷試験とは?

ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖の液を摂取し、摂取から2時間後の血糖値を測定する検査です。この検査により、食事後に血糖値が過剰に上昇するかどうかを評価できます。特に糖尿病が発症直前の段階では、空腹時の血糖値は正常でも、食事後の血糖値だけが高いことがあります。ブドウ糖負荷試験はこの状況を検出するのに役立ちます。


まとめ
2型糖尿病は、遺伝体質と肥満が発症リスクに影響を与える疾患です。肥満や内臓脂肪型肥満、高血圧、脂質異常症、喫煙などが糖尿病の原因やリスク因子として関連しています。また、家族内で糖尿病患者がいる場合、遺伝要因にも警戒が必要です。糖尿病の早期発見には血液検査が重要であり、ブドウ糖負荷試験も役立つ場合があります。自身の糖尿病リスクを評価し、適切な予防策を講じることが重要です。